<これは何?>
このソフトは、細胞の増殖・消滅を、単純なルールで抽象化して視覚化したものです。
細胞は、栄養分のほかに周りに細胞が一定程度いれば、生存・増殖できますが、
仲間がいないと死んでしまいます。
その周りにいる細胞の数を条件として、「KEEP(生存条件)」と「NEW(増殖条件)」という形で
操作できるようにしたものです。
このソフトを使うことで、あなたの中に新たな疑問が浮かべば幸いです。
<遊び方>
再生ボタンを押すと、自動的に細胞が増殖(または減少)していきます。
時間が経って、定常状態になったり、飽きたら違う配置を選んでみてください。
また、図の近くを適当にクリックする(細胞を追加する)ことで、違った展開を見ることができます。
< 参考資料>
<生存ルールと「おとなりどなり」の由来>
細胞は1つの卵子から細胞分裂して発展していくときに、全体に指示を出すものがないと
言われています。DNAは設計図としてはありますが、細胞自身が私は何になればいい?
ということに対しては、周りにある他の細胞たちの種類と、配置状態に応じて自分を定めて
いくと言われています。
その条件を単純化して、
1.ある細胞に対して、周りに2つまたは3つの細胞があれば生き延びる
2.何もない空間には周りに3つ細胞があれば、新しい細胞が生まれる
3.それ以外の条件では全て消滅する(過密or過疎により)
というルールにしたのが、一般的にライフ・ゲーム(Wikiへのリンク)と呼ばれるものです。
それはどの細胞にとっても同じ条件で、みんなお隣と影響しあうという関係性を日本語に
したいなと思って、「おとなりどなり」と名づけました。
<余談>
当たり前の話かもしれませんが、現在のコンピューターの動作原理は、
「司令官がいて、それが全体を統括してモノゴトを処理する」という形をとっています。
実際、このプログラムを組んでいる際にもそれを実感することがありました。
最初のうちはこのソフトのテーマからして、「個々の細胞(1600個)がそれぞれに
自分と周りの情報を持っているという形」でプログラムを組んでいたのですが、
計算処理に時間がかかり、動作がものすごく遅くなってしまいました。
そのためプログラムを組み替えて、個々の細胞の情報を一箇所で一括管理して、
必要に応じて各細胞に伝えるという司令官方式に変更すると何十倍もの速さになりました。
当たり前の話かもしれませんが、現在のコンピューターが効率的な仕事をするためには
その仕事のさせ方も情報集中方式になってしまい、カオスや複雑系という「要素が
個々に判断・影響しあう型」現象を取り扱うのには、そもそもの設計からして向いてない
のだなと。
話を生物に戻しますと、(生存ルールのモデル化が正しいとすると)この条件下で出来て
くる特徴的な形、イーターやグライダーなどは、現実世界においていったい何に相当する
のだろう?という疑問や、相互作用の値である2や3は、なぜこれが”発展に適切な値”に
なるのか、そしてそれは何を意味してるのか?という問いが出てきてたのが、個人的な成果
かなと思っています。
そしてコンピューターの設計思想が、個々のユニットが独自に動いて影響し合うという形に
なったとき、このライフ・ゲームに現れる特徴的な形はきっと、その動作の中に
現れてくるのだろうと思います。楽しみというか、怖いというか。
2009/02/01 |